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​交流・熊崎削

くおんくんの部活の、せんぱいさん。
たまに一緒に話しているのを見かけて、その様子をさらにたまにじっと見ていた。
「あ、くーちゃんと同じクラスの!」
廊下でそう声をかけられて、ちょっとだけ持っていた段ボールが宙に浮く。
「ぬ!……あ、せんぱいさん!」
「せんぱいさん?」
たははとせんぱいさんは笑いながら、「段ボール重くない?」と聞いてきた。
「布とかなので、大丈夫です。押忍」
「そっかそっか。なら良かった」
布って、家庭科?いえ、被服手芸部のです。そう言いながら、並んで廊下を歩く。
「俺、熊崎削っていうの。君は?」
「ゆらちゃんです」
「ゆらちゃんかー。ねえねえゆらちゃん、くーちゃんと仲良い?」
「くおんくんと、ですか?」
ふむ、考えて、「ゆらちゃんの救世主です」と答えた。
「きゅうせいしゅ?」
「はい。仲が良いとか、ゆらちゃんが言えるのか分かんないですけど、ゆらちゃんはくおんくんが助けてくれるから、楽しく過ごせてるです」
いつか恩返し、でっかいでっかい恩返しがしたいです。
そう言うと、せんぱいさんは目を細めて笑った。
「いいね!そういう関係も良いと思う」
「ありがとです。押忍」
びしっと敬礼して、階段を上る。せんぱいさんは、廊下を進んでいった。

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