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交流・香座
「けいかせんぱい、おはようです」
朝。ちょっとだけ早起きできたので、調理室にいるせんぱいに声をかけた。
せんぱいはくるりと振り返って、「おはよう、結良ちゃん」と笑顔を見せる。
せんぱいとは、球技大会以来の仲だった。寮の歓迎会でも声をかけてもらったりはしていたが、一番仲良くなったのはそこといっても過言ではない。……過言の使い方ってこれで合ってるんだろうか。
「何作ってたですか?」
「えっとね、部活のみんなへの差し入れかな。味見する?」
「するです!」
爪楊枝をもらって、一口。相変わらず美味しくて、顔がにやける。
「おいし~です!けいかせんぱい、すげーです。押忍」
「よかった」
じゃあこれでタッパーに詰めようと、せんぱいは棚にあるタッパーを取った。
「そろそろ、食堂も開くんじゃない?結良ちゃん、行ってきたら?」
そう言われ時計を見ると、六時を指していた時計が、その長針をだいぶ動かしていた。
「ほんとですね。じゃあ、行ってくるです!」
「行ってらっしゃい」
手を振れば、せんぱいも笑って手を振り返してくれた。
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